2025.07.31

海の森を取り戻せるか?IJTTと横浜国立大学が藻場再生の共同実証を開始

神奈川県の海で進む「磯焼け」という課題に対し、株式会社IJTTと横浜国立大学は、藻場(海の森)の再生に向けた共同実証研究を開始しました。
ものづくり企業としての技術と、大学の研究知を掛け合わせ、持続可能な海の環境づくりと資源循環の新たな可能性に挑みます

相模湾では近年、藻場の減少が深刻化しています

なぜ今、藻場再生が必要なのか

神奈川県の海では、海水温の上昇や藻食生物の増加、栄養塩の減少などの影響により、「磯焼け」と呼ばれる現象が進んでいます。

藻場は、魚や貝類のすみかや産卵場所となるだけでなく、海の生態系を支える重要な存在です。さらに、CO₂を吸収・貯留する「ブルーカーボン」としても注目されています。

こうした背景から、藻場を再生する技術の確立が急務となっています。

実際の海域に設置された藻場再生の実証設備(城ヶ島・真鶴)

海の中で検証する「藻場再生のしくみ」

本実証では、「藻場は再生できるのか」「どの方法が有効なのか」という問いに対し、科学的な検証を行います。

相模湾の複数の海域で環境調査を行いながら、以下のような取り組みを進めています。

・食害(魚などによる食べられる被害)への対策
・植物由来素材やミネラルの活用
・鋳造工程で生じる鉱さいの活用
・カジメやアカモクなど海藻の成長検証

実際の海の環境の中で実験・分析を行うことで、再現性のある技術の確立を目指しています。

ものづくり企業としての役割 ― 資源を循環させる

IJTTでは、鋳造工程の中で年間約8万トンの鋳物砂(鉱さい)が発生します。

これまで主にセメント原料として利用されてきましたが、今回の実証では、これを海の環境改善に活用する新たな挑戦を行っています。

・藻場再生に用いる資材の設計・製作
・約800kgの鉱さいの提供
・海中での変化や栄養塩の溶出の分析

産学官で広げる、海と社会の未来

本プロジェクトは、大学・企業・自治体・漁業関係者が連携する産学官の取り組みです。

将来的には、相模湾をモデルケースとして、他地域への展開や社会実装を目指しています。

さらに今後は、

・ブルーカーボンクレジットの創出・活用
・地域と連携した環境価値の可視化
・持続可能な海洋環境の構築

といった取り組みへと発展させていきます。

海の取り組みは、すべてにつながる

海の環境は、決して海だけの問題ではありません。

森、食、産業、そして私たちの暮らしすべてとつながっています。

だからこそ、このような取り組みは特定の分野や一部の人だけで進めるのではなく、多くの人とともに進めていくことが重要です。

IJTTは、ものづくりの現場から社会課題に向き合い、産業と自然が調和する未来の実現に貢献していきます。

プレスリリース全文はこちら

本件に関する詳細は、こちらのプレスリリースをご覧ください。